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2008年のお知らせ

FRAGRANCE JOURNALに『座談会「化粧品原料の現状と・・・」』の記事が掲載されました。

FRAGRANCE JOURNAL(2008/4)掲載

『座談会「化粧品原料の現状と今後の方向性」』

今回の特集「原料メーカーにおける研究開発戦略と今後の展望」に絡めた形で,国内化粧品原料メーカー,海外化粧品原料メーカー,原料商社のそれぞれを代表して3名の方にお集まりいただき座談会を開きました。化粧品原料を取り巻く現状とこれからの方向性について,その現場に立ち化粧品原料に接している中での本音を語ってもらいました。
座談会にご出席いただいたのは,ペンタファームジャパン(株)代表取締役社長 内山太平氏, 岩瀬コスファ(株)常務執行役員 諏訪善親氏,味の素(株)化成品部香粧品素材グループ課長 伊能正浩氏の方々です。

・化粧品原料価格高腰の影響

――最近の化粧品原料は素材物質の高騰や原油高などのコスト高で値上がりが激しいようです。化粧品の価格にも影響が出ているようですが,扱う側からするとどうでしょうか。
(内山) ペンタファーム社は,スイスの企業で30年以上前より化粧品用の有効成分を開発・販売しています。昨年8月にDSMグループの一員となり,新たな環境で活動を開始したところです。その供給する有効成分は,スイスフランの高騰にもかかわらず,マーケットへの安定供給で販売量が増えていること,製造現場や事務処理の効率化によるコスト削減,さらにはDSMとの合併による相乗効果もあり,今まで値上げを一切していません。一方,DSMがもっている化粧品用原料で,特にビタミン類は,ずっと中国品に日本のマーケットが押されてきていましたが,品質や供給の問題で,中国品が入ってこなくなってから,玉不足で一挙に倍近くマーケット価格が上がっている状況です。我々もそのような価格で供給せざるを得ないし,その上,新興国の需要は年々増加していますので世界的に慢性的な供給不足になっている。非常に特殊な状況が起きています。
(諏訪) これはもう大分前からですよね。
(内山) ここ1年から1年半ぐらいですね。私が聞いている限り,中国品が安くて,一時日本のマーケットの4割をとったという時期は,当然のことながらマーケット価格が下がり,いくつかの大手サプライヤーがビジネスから撤退しました。その頃から中国品がマーケットリーダーになりましたが,その後中国品の品質問題等々が出てきて,中国品が日本に全く入らなくなって,マーケットは様変わりしています。モノは足りない,価格は上がる。ということでここ1年ぐらいは,お客様に大変な迷惑をかけている状況です。
(諏訪) 化粧品原料全般的なことで言いますと,価格は,かなり上がっています。来年ぐらいまでみても下がるという要因は非常に少ないとみています。最近は,ドル安に伴う円高という部分があります。しかし,それでも原油高謄を考えますと安くなるのは難しいと思います。特にまだまだユーロ高ですので,ヨーロッパからの輸入品の価格上昇は止めようもないという状態です。原料価格は輸入の部分に左右されますから,かなり上がることが予想されます。今年どれくらいで止まるかといったところに期待するしかありません。
――伊能さんのところはいかがですか?
(伊能) 弊社は幸いにも海外と国内でバランスよく販売できています。為替の影響は限定的ですがあります。問題は原料や製造過程のエネルギーなどのコストアップによる収益減少です。弊社素材の多くは,アミノ酸や脂肪酸を原料としていますが,この原料費の上昇はダイレクトに利益を減らしています。これまでのコストダウンなどでなんとか利益を確保していましたが,状況は刻々と難しくなっています。
(諏訪) 値上げは一昨年から続いており,昨年の前半は原料ソースの値上がりメインでしたが,後半からは様々な製造コストの値上がりが影響してきている状況だと思います。
(伊能) この先,製造コストの上昇が落ち着きそうだとかの見通しがつけば,中長期的観点から値上げを避けるという選択もあるのでしょうが,昨今の状況は収まる見通しが立てられていない。どこの業界も値上げに踏み切らざるを得ない状況だと感じています。
(内山) 海外では,値上げについては,比較的短期間で交渉は終わるようです。メーカー側は,これこれの理由で値上げしますとお客様に通知し,お客様はそれに対して“Yes”か“No” かだけ。ところが日本の場合は,商習慣とか企業文化の違いでしょうが,3回ぐらいお客様のところに足を運ばざるを得ないようです。問題なのは,我々原料サプライヤーと一緒になって頑張ってもらいたい販売代理店の営業の方が,値上げ交渉に追われて,新しい原料の紹介とか,お客様と新しい商品企画を作っていくためのアイデア提供などの前向きな活動ができていないことです。このような大切な活動がここ1年ピタッと止まっていると認識しています。
(伊能) 内山さんのおっしゃるとおりですね。国内では最低でも商品の数掛けるお客様の数だけ価格改定の交渉が必要ですし,通常,1回の交渉で価格が改定できる場合は極めて限られていますから。価格改定の交渉によって,業界のいろいろな時間が奪われてしまっているといえます。
(諏訪) それは弊社にとって一番耳の痛い話ですね。確かに最初に値上げ通知を行って,次に実施時期と金額を決めてと,数回通うことになります。実際,営業の話では,昨年7割の時間を値上げ交渉に使ってしまっている。本来しなくてはいけない新しいものへのワークが3割しかできていない。化粧品価格も原料コストがここまで上がってくると,値上げせざるを得ない。ところが,化粧品は業界の特性でリニューアルや新製品の投入でないと価格改定が難しいため,利幅の確保ができなくなっているという状況だと思います。
(伊能) 値上げ交渉の末にビジネスを失うこともありますね。他の業界に比べると値上げ交渉のやりづらさもあって,値上げ方針を打ち出せないところもあると思います。
(諏訪) それが逆に値段が1回で決まらないということに繋がっていると思います。メーカーさんから出てきた値上げ金額をそのまま上げるのは至難の業です。弊社でも売り上げは,確かに上がりますが,利益はなかなか出ていません。
――原料メーカーの直面している課題というのは,価格高騰・コスト削減の問題になるでしょうか。
(伊能) 一般論ですが,コスト削減については余地があるものと,ないものとに分かれると思います。上市から年月が経ち市場が受け入れやすい価格になった汎用原料に関してはコストダウンの余地はないものが多いのではないでしょうか。一方,新製品に関しては,状況は様々だと思いますが,コストダウンの余地はあっても,十分に販売量がないこれまでかかった開発費の回収をしなくてはならないことを考えると,うまくビジネスが回り始めるまではコストダウンの検討に入ることすら難しいのかもしれません。これが通常ですが,この上に価格高騰が載ってきていますので,原料メーカーにとっては厳しい状況です。

・化粧品原料メーカーの安全性への対応と規制の問題

――話は変わりますが,最近食品業界などでは安全性の問題で騒がれていますが,幸いなことに化粧品業界では現在そのような問題が起こっていません。この安全性の問題についてはどのようにお考えですか。
(内山) 私どもは,スイスをベースとした企業ですので,基本的にヨーロッパのレギュレーションで求められている安全性のデータは確実に取って,安全性を確認した上で市場に出しています。しかし,日本はヨーロッパと追って,お客様によっては,まだ旧規制での9項目の安全性データを要求される場合があります。その中には動物実験でしか取れない安全性のデータがあり,これをどうするか。どのようにして取るかが大きな悩みですね。我々が日本のお客様のために動物を使った実験を行えば,動物実験禁止を打ち出しているヨーロッパではその原料を売れなくなってしまいます。そのジレンマが非常に大きな問題になっています。
(諏訪) 現在,化粧品は閏係ありませんが,医薬部外品の配合承認を取るためには,9項目の安全性データが必要ですし,部外品製造販売ガイドブックに準じた安全性データには,まだ一部しか代替法は認められていません。弊社でも新しい原料の医薬部外品申請を行うときには,この9項目の安全性データ(UV 吸収がない場合は7項目)が必要になります。動物を使った安全性データを取るとヨーロッパに売れなくなる。取らなければ医薬部外品原料として売れない。化粧品原料では,この安全性データを揃える義務はないですが,要求は出ます。この要求は以前よりも厳しくなっていて,規制媛和は原料を売る側からすると全く緩和されずに逆に厳しくなっている現状です。
(伊能) 弊社では,上市に先立ち,多くのお客様からの要望を考え,欧州登録など法規に準じての安全性確認をすることにしています。弊社の素材は,特に医薬部外品を対象にしていないものが多いため,内山さん諏訪さんがおっしゃる対EUおよび対日本への対応のジレンマは問題となりませんが,そのような対応が必要な原料メーカーにとっては非常に難しい状況であると理解しています。
一方で,最近では,お客様である化粧品会社から原料メーカーに対し,以前より多くの安全性評価結果を求められるようになっています。このような観点での原料のアピールが求められるようになっているともいえます。
――味の素さんでは国内はもとより,海外への輸出も多いと思いますが。海外への安全性データはどうされているのですか?
(伊能) 法規関係では欧州法規への対応が基本になりますね。多くの国が欧州を向いているところがありますので。
(諏訪) その試験は,動物試験が認められると思いますが,化粧品に限ると2009年の3月からは安全性試験で一般的に行われてきた動物での安全性試験を実施した化粧品成分やその原料を含有する製品の販売が禁止され,2013年からはすべての動物での安全性試験したものが全くだめですよね。
(伊能) 欧州登録をしないと欧州市場に入っていけませんから,法規で求められる試験には対応しています。各社独自の安全性基準もあってしかるべきだとは思いますが,我々のように多くのお客様に原料を提供するという立場からは,業界の基準や法規の判断に従っていくといくことになりますね。
(内山) 日本の医薬部外品のカテゴリーをなくして,化粧品と医薬品だけにするならば矛盾は解消するのではないでしょうか。日本は医薬部外品のカテゴリーで求められているデータが多く,なおかつ動物実験を使わざるを得ない項目が残っているのが,大きな矛盾になっていて,それが垣根を作っているように思います。
――有効成分のみを扱っているペンタファーム社としては大きな問題になりますね。
(内山) ヨーロッパのように最終的には,メーカーがすべて責任取りなさい。たとえば,アンチエイジングを謳って出した化粧品がだめだったらお客さんに買ってもらえない。それは企業に跳ね返ってくるし,トラブルが起きても同じように企業が責任取らされる。企業の責任ですべてやりなさいという方が,規制緩和の本来の趣旨にあったものだと思っています。
(諏訪) 機能性は,最終製品でどんな機能があるかを問われると思われるでしょうが,日本での医薬部外品は新規成分(主剤)を除けば, 配合成分(主剤)の前例主義で,この成分が何パーセント入っていれば,「医薬部外品として承認されます」ということになっています。実際には,同じ成分でも製剤化によって効果が違ってくると思います。しかし,日本の場合,そこまでみていないのが現状です。消費者に対して,効くことをアピールできる医薬部外品は必要とされていますが,今後,機能性化粧品の取り扱いと共に問題になってくるでしょう。弊社のように様々な原料を売る側からすると原料での前例主義はありがたいです。医薬部外品の配合許可が取れているものは売りやすいですが,逆にこれから承認を取ろうとすると非常に大変なことになります。
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FRAGRANCE JOURNAL(フレグランスジャーナル)(2008/4)掲載

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